サンバの日に70歳の誕生日をテレビ番組で祝った歌手、アルシオーネ

サンバ界を代表する女性歌手、アルシオーネ

サンバ界を代表する女性歌手、アルシオーネ

グローボの土曜の番組「FANTÁSTICO」での様子

グローボの土曜の番組「FANTÁSTICO」での様子

“マホン(栗色の娘)”の愛称でブラジル庶民に愛されているブラジル音楽サンバ界を代表する女性歌手、パワフルで哀愁漂う声で魅了し続けるアルシオーネが、11月21日に70歳の誕生日を迎えた。これを機に、アルシオーネの誕生日の翌週12月2日(Dia Nacional do Samba= サンバの日)、ブラジル最大手のテレビ局、グローボの土曜の番組「FANTÁSTICO」が、70歳を迎えたばかりのアルシオーネの誕生日を祝い、サンバを称えるインタビュー形式のスタジオ収録ライヴ番組を放映した。
1947年にマラニョン州の首都、サン・ルイスに生まれたアルシオーネは、ファーストアルバム『A voz do samba』でレコードデビューを果たし、その後、瞬く間にブラジル国民を魅了し始めた。
ボサノヴァ界のパイオニアであり、現在でも活動を続けているホベルト・メネスカルが、レコード会社“Philips”の音楽監督を務めていた時代に、サンバ界の女王として1971年から既に国民の大人気を得ていたクララ・ヌネスの共存相手として、アルシオーネをプロデュースし、ベッチ・カルヴァーリョと並ぶ、ブラジル音楽史上最も重要な女性サンバ歌手として、その地位を確立させた。ノルデスチ(北東部)からリオに移り住み、プロとして活動してからは、サンバの歌を始めとするアメリカ音楽のスタンダード、ボレロやシャンソンなどあらゆるジャンルの音楽をリオのナイトクラブで歌い、その後、テレビで歌うようになったという。
高音から低音までを自由に操る洗礼された声、体内に宿るインストゥルメンタル奏者のような音楽的テクニックの才能、音楽性は軍事警察のバンドマスターを務めていた父親の影響なのだ。そんな彼女の幼少から現在に至るまでの音楽歴史を語り、最近の体調不良の逸話やアメリカのロックミュージシャン、アクセル・ローズとの出会いなど、歌手生活としての歩みを振り返りながら数々のエピソードを交え、彼女のヒット曲をスタジオで熱唱した。
昨年の12月に体調不良を訴え入院していたアルシオーネ。医者からダイエット推薦を言い渡され25キロの体重を減らし、以前よりもより健康的に、そして幸福感に溢れる姿で大物アーティストとして活力みなぎるエネルギーである。そして、第一線で活躍し続ける貫禄と風格で満ち溢れている。
太くて深みあるアルシオーネの歌声は、母なる大地のように逞しく、そして優しく響く。ブラジルの色彩と音色を表現する“栗色の熟年歌手”として、古希という70歳の長寿を喜び合うお祝いに相応しい時間をこの日、お茶の間に届けたのだ。
(リオデジャネイロ●MAKO)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ2018年1月号に掲載されています。
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