クンビア・ロックの新鋭、ソニード・ガジョ・ネグロが新作発表

ソニード・ガジョ・ネグロの新作プレス試聴会にて、解説するメンバーたち ©MIHO NAGAYA

ソニード・ガジョ・ネグロの新作プレス試聴会にて、解説するメンバーたち
©MIHO NAGAYA

メキシコおよび、ヨーロッパでも人気急上昇中の、サイケデリック・クンビア・ロック・バンド、ソニード・ガジョ・ネグロ(以下SGN)。彼らの3年ぶりの新作、『MAMBO EGIPCIO(エジプトのマンボ)』が、2017年9月22日にCDと、レコードで発売される。その同日に、メキシコシティで行われるリリース記念コンサートでは、70〜80年代に一世風靡をしたジャンル、「アマゾン・クンビア」を代表する、伝説のペルーのバンド、ロス・ミルロスと初共演を果たす。
去る7月21日、そのアルバムの、プレス向け試聴会が、メキシコシティのギャラリー、ベルティゴで行われた。同ギャラリーは、SGNのテルミン奏者、VJ、アート・コンセプトを担う、アルゼンチン出身のイラストレーター、ドクトル・アルデレテ(フェルミン・ムルグサ原作のコミック『BLACK IS BELTZA』の作画や、ロス・ファブロソス・カデラクス、アンドレス・カラマロのアルバム・ジャケットのイラストでも知られる)が運営する場所だ。その日は、SGNの中心メンバーである、イスラエル・マルティネス(Bs)ガブリエル・ロペス(Gt)、そして、ドクトル・アルデレテの3人による、アルバム解説が行われた。
同アルバムの制作期間は、約7ヶ月で、クラウドファンディングによって資金繰りを行い、完成させた。
肝心の音だが、ガレージやサーフ・ロックとチーチャ、クンビアの融合が荒削りながらも斬新だった、1作目『野生のクンビア』や、2作目『神秘のクンビア』と比べると、格段に音の厚みがあるし、ヴォーカルや、管楽器、アコーディオンなども入って、ぐっと魅力が増している。
メインで作曲するガブリエルによれば、「オーガニックな音にこだわりたかったので、なるべくライヴ感を出すため、各パートごとに録音していくのではなく、メンバーが一斉に演奏しているのを録音した」という。アルバムのタイトルが示すように、古代エジプト音楽にインスパイアされた妖しげなマンボ、ノルテックのようなテクノ風、エスキベルのようなエキゾチックな曲など、ビンテージ感がありながらも、未来的な音世界を繰り広げている。バラエティに富んだ内容だが、彼らの要である、骨太なロック魂が失われていないのがいい。
日本でも過去2作のCDが発売され、ファンも多いSGNだけに、この新作リリースに合わせた来日公演の実現を切に願う。

(メキシコシティ●長屋美保)


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