ペルーで起きた大規模な水害で 多数のミュージシャンが被災者支援

フェスティバル『Una sola fuerza』で最も会場を盛り上げたバレト © Oscar Chambi

フェスティバル『Una sola fuerza』で最も会場を盛り上げたバレト
© Oscar Chambi

 

ペルーでは、昨年末から断続的に続く豪雨によって各地で洪水や土砂災害が起きている。この3月には北部海岸地帯と首都リマの内陸側で記録的な降雨が観測され、増水による河川の氾濫や土石流、土砂崩れが発生。とくにその被害が大きいピウラ州(リマから北に約1000㎞)では、街の中心を流れる河川の氾濫により1メートル以上の浸水を記録した地区もある。政府発表によると、これまでに全国で合計1900㎞の道路が被害を受け、160以上の橋が崩落するなど、陸上交通にも影響が出ている。また、4月8日時点で死者は計106人、被災者が16万人を超える深刻な状況にある。

この災害の原因は、日本の気候にも関わるエル・ニーニョ現象によるものなのだが、今回はここ数十年の中でもとくにその影響が大きく、歴史的とも言える甚大な被害が広がった。そこで、ペルー政府はこの危機的状況を国民で一致団結して乗り越えようと、『Una sola fuerza:ウナ・ソラ・フエルサ(力をひとつに)』を合い言葉に支援キャンペーンを先導。地方行政や民間団体、一般企業などが率先して同キャンペーンに参加し、様々なイベントを企画・開催することで支援の輪を大きくしている。

この一環で8日にリマ市内で開催された音楽フェスティバルでは、クンビアにダブやロックをミックスする人気バンドのバレトを中心に、レゲエバンドのラグーナ・パイ、フォルクロール音楽家のルーチョ・ケケサナ、シンガーソングライターのララー、ロックグループのラ・メンテなど、計19組の国内アーティストが参加。フェスティバルの入場の条件が支援物資の提供とされていたことから、会場受付には水や食料品、日常品、衣類などを抱えた市民が大勢詰めかけ、それぞれ持ち寄った物資をリストバンドと交換する姿が見られた。

こうした支援コンサートは、3月下旬から数多くの国内ミュージシャンの協力の下、各地で開催されている。また、ペルー公演の時期が一致したジャスティン・ビーバーやナタリア・ラフォルカデ、クリスティアン・カストロのコンサート会場でも支援物資の受付が行われた。

一方で、ジアン・マルコは、グロリア・エステファンに提供した曲として知られる『HOY(オイ)』をリメイクし、今月24日にCDおよびデジタル版で発売することを発表。国内外のアーティストが複数参加するこのシングルの収益は、ペルー・ユニセフを通じて全額被災者支援の寄付金にされることになっている。

(リマ●川又千加子)


こちらの海外ニュースは月刊ラティーナ5月号に掲載されています。
こちらから購入ができます。