サルヴァドールのカーニバルでダニエラ・メルクリのアフロヘアが物議

アフロヘアが物議をかもしたダニエラ

アフロヘアが物議をかもしたダニエラ・メルクリ

今年のサルヴァドールのカーニバルのテーマは、トロピカリア50周年とトリオ・エレトリコの最初の歌手といわれるモラエス・モレイラ。

モラエスは、今回オマージュされたことで、メインの時間帯で参加日数も例年以上に増えた。また、様々なバンドによって彼の代表曲「Chame Gente」が、演奏された。

もう一つのテーマであるトロピカリアであるが、ペロウリーニョ広場で行われたジルのライヴでは、カエターノが、飛び入り参加。トロピカリズモ運動のメインテーマ曲でもある「アレグリア・アレグリア」を歌った。ジルは、やはりトロピカリズモ時代の名曲「ドミンゴ・ノ・パルケ」などを披露。ブロコアフロのコルテージョ・アフロもジルをオマージュ。昨年は病気であまり元気ではなかったジルだが、最近は聴衆の面々に元気な姿を見せている。

今回のカーニバルで目立ったバンドといえば、バイアーナシステム。バイアーナシステムのライヴだけを楽しみたいという生粋のファン数が激増している。カーニバルでは5日間演奏し、観衆の数がすごい。カンポグランジ会場で歌手のフッソは、「クーデターを起こしたもの、ファシストはここを通ってはいけない!」と観衆をあおり、それに応じてギャラリーは「フォーラ!テメール(テメール大統領やめろ)!」を大合唱した。これにカーニバル委員会は、カーニバルに政治色をいれたと難色をしめしたが、バンドがなんらかの制裁をうけることはなかった。

今年のダニエラ・メルクリは、アフロヘアでエルザ・ソアレスをオマージュ。しかし後日、黒人人権運動者が、白人がアフロ文化の格好をするのはいかがなものかとダニエラにちくり。黒人女性がよくするターバンも白人がファッションのためだけにするのは、黒人文化を侵害しているという意見がネットで議論されていた。また、カーニバルルートの最後に警察関係者の観覧席があるが、その直前でダニエラが演奏を終了してしまい、これまた警察賛美者たちから、けしからん! とネットで叩かれている。ダニエラにとっては今回のカーニバルは踏んだり蹴ったりのようだ。

ただ、彼女は普段から黒人文化を賛美する歌やビデオクリップなどを作っているが、本当にダニエラ本人が彼ら自身を賛美しているのか、それとも単にマーケティングとして利用しているだけか、はなはだ疑問でもあるが。

ちなみにカーニバルでヒットするといわれ先月号で紹介した「Me Libera Nega」はそれほどヒットせず。レオサンタナの「サンチーニャ」が一番ヒットしたようだ。しかし、昨年のビンガドーラの曲「Metralhadora」と比べると、今年は大ヒット曲がなかった。

(バイーア●北村欧介)


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