手腕が問われる新たな文化大臣 ホベルト・フレイリ氏の文化行政に注目

11月就任したフレイリ文化大臣

11月就任したフレイリ文化大臣

国会における弾劾決議・裁判によって罷免されたルセフ大統領の代行として昨年5月成立したテメル政権が文化行政に関してまず行ったことは、文化省の廃止、文部省への併合であった。文化省は1985年文部省から分離独立したので、元の鞘に戻したともいえるが、文化関係者を主体とする怒った国民が猛反発、国内各地(18州都)の文化省支部施設を“占拠”する運動が急速に広まってしまった。この事態に慌てたテメル大統領は、廃省決定から10日も経たないうちに文化省の復活を決めざるを得なくなった。

新たに文化大臣となったマルセロ・カレロはキャリア外交官であったが、官房長官との軋轢もあって在任数か月で11月に辞任、そのあとに文化大臣に任命されたのがホベルト・フレイリであった。

財政難から政府支出全般を引き締めることとなり、文化関連予算も削減せざるを得なくなったが、その結果、例えば、堅実な実績を積み上げてきたペルナンブーコ国際文学祭(Fliporto)も2016年版は中止、というように複数の文化イベントがスリム化ないしキャンセルを余儀なくされ、法人税免税による文化振興法といえるフアネー法も改正が論じられている。というように、ヒトもカネもモノも文化行政は低空飛行中だ。

そんな逆風下に文化大臣となったフレイリは、1942年レシーフェ生まれのベテラン政治家で元共産党党首だ。ちなみに、共産党としてはかつて米大陸で最大規模を有したブラジル共産党(PCB)は、中ソ対立で中国派が離脱し新党(PCdoB、ブラジルの共産党)を結党、という分裂を経てソ連派となっていたが、ソ連消滅に伴ってイタリア共産党が1991年左翼民主党に鞍替えしたように、1992年、解党して社会主義大衆党(PPS)へ再生している。この大変革をリードしたのがフレイリである。

労働者党(PT)主体の第一期ルーラ政権では連立与党だったが、第二期政権から野党に転じ、現在は、社会民主党(PSDB)と歩調を合わせているというのが、元共産党のポジションだが、フレイリ党首は二十数年前の共産党リーダー時代、新聞のインタビューで「実は、マルクス『資本論』は難解すぎて読了していないんだ」なんて正直に告白して知識人層から好感をもって受け入れられたこともあって、今回の突発的な文化大臣就任に期待を寄せる向きもある。

マルクス読まずの元共産主義者フレイリが、文化大臣として手腕を発揮するかどうか、期待半分・諦め半分というのが、文化関係者の見方といえそうだ。

(ブラジル●岸和田 仁)


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