11月下旬、Lado BAという音楽フェスティバルがサルヴァドールで開催された。今年で4回目を迎える。音楽プロモーターとアーティストたちの会合やワークショップがあり、夜は20以上のライヴがペロウリーニョ地区の4箇所の会場で行われ、ほとんどが無料だった。ただ各々の場所に同じ時間帯でライヴがあったので、全部アーティストをみることは無理であった。
出演者は、メキシコ、チリの海外から、またベレン、バイーア、ミナスなどからだがほとんど知らないアーティストで新鮮なセレクションだった。印象に残ったのは、ブラジル在住ナイジェリア人Okwei Odili。バイーア発アフロビートバンドのIFA Afrobeatとも競演する彼女は、ファンク、アフロビートのリズム主体のライヴ。ステージ上の彼女のノリはブラジル人とは少し違う。歌唱力がものすごいとは思わなかったが、観客をのせるスキルを持っている。ミナスから来たConfeitariaは地味ながら、おもしろいバンドだった。二人は、今年アルゼンチンのパタゴニアに行き、そこでレコーディング。パタゴニアの映像をバックにその曲を中心にギターとドラムそしてミキシングを混えた、癒し系の音楽。リズムが時々激しくなったり、サイキデリックな演奏のギターのセッションは、独特でスピリチュアルな気分にさせてくれたが、観客の姿が少なかったのが残念でもあった。
メキシコのグアラダハラからきたソニードス・サタナスも新しいグループ。このグループには観客が殺到。ミキシングを主にしたエレクトロニックなクンビアスタイルの曲を歌い、レゲエやダブも混ぜ、観客を盛り上げ踊らせる。バンド名からくる悪魔に扮したメキシコ人特有のヒゲおやじも出て、コミカルに踊り、観客もステージに上がらせる。地元メキシコのパーティーでライヴを行いながら、着実に名前を売ってきたグループらしい。
ベレンからのフェリッペ・コルデイロはベレン出身のミュージシャンの中では、現在名前が売れており、サルヴァドールにも昨年参上。ボーカルのフェリッペのお父さんはギターハダドパラの名手。ランバーダのもとになるカリンボっぽいリズムで、やはり会場の観客を引きつけていた。
最後のメインイベントはベーテーパゴダン(B_t_Pgdão)というバイーアのグループ。本誌にも過去に紹介した人気ミキサーのハファ・ジアスが仲間と作ったプロジェクトグループ。ピシリコはバイーアのパゴージの中でもアフロのリズム打ちが強いが、そのピシリコをさらにエレクトロニックにしたスタイル。パゴージとエレクトロニックな音楽が好きな人なら受けるに違いない。アシェ以外のプログラムが連続した珍しく充実した内容のフェスティバルだった。
(ブラジル●北村欧介)
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